第35回日本体外循環技術医学会大会開催にあたって
大会長 吉田 靖
大阪労災病院 臨床工学室
このたび、歴史ある日本体外循環技術医学会の第35回大会を開催させて頂きますことは大変光栄であるとともに、その責任の重さを強く感じております。
体外循環の領域に特化した本邦で唯一の日本体外循環技術医学会が学会を標榜したことにより、研究会の立場からその職能的な活動の重心を当医学会が担うこの分野での学術的な活動に移行させることは社会的な責任も含めて重要となっております。その上で経験や流言だけを根拠とすることなく、Evidence-based Medicine(根拠を利用した医療、EBM)における有効性の高い良質な研究を促進することが明確な当医学会の指針であると考えており、この学術大会のテーマを「体外循環のエビデンスを求めて」といたしました。
この体外循環の技術及び知識をさらに安定向上させるため、エビデンスに関わる多くの特別セッションを企画いたしました。ジョイントシンポジウムではInternational Consortium for Evidence-Based Perfusion (ICEBP) のCommittee Member であるMr.Kenneth G. Shann(Montefiore Medical Center, NewYork)を招き、海外でのエビデンスへの取り組みをふまえて本邦の技術・技能・知識の蓄積を体系的に明文化し、その手法などについて各分野での成果を効率よく関わりを持つことから、ゆくゆくはガイドラインを構築することに繋げていくきっかけとなることを期待しております。これらを支えるエビデンスを言葉としてではなく、その本質を理解するためにエビデンスの概念や現在の体外循環技術を支えている研究成果を教育講演で学び、知識として共有し、具体的な活用に結びつけることを目指したいと思います。その上で体外循環操作法が教育、安全管理の上で統一化できる可能性を模索して行くために多くの体外循環操作法をビデオで供覧していただき、現時点での操作方法の問題点や目指すべき操作方法を考えてみたいと思います。
パネルディスカッションでは体外循環技士に期待される業務の拡大をふまえた新たな資格をテーマとし、さらに新しいディバイスに関わる従来の部材の意味付けを再考して標準的な回路の構成を考えていきたいと思います。その他にも動脈血貯血槽型人工肺の販売中止に伴う脳分離体外循環法の安全性や補助循環や抗凝固におけるエビデンスの確立に向けての取り組みをラウンドテーブルディスカッションで議論する企画を設けました。
また、小児体外循環については分断されない時間配分で総合的なプログラムを企画しております。
さらに、カリキュラムの固定化した教育セミナーでは取り上げられないトピカルな話題で、ぜひ知っておきたいテーマを選択してその第一人者による講演形式の教育セッションを企画いたしました。
なお、盛りだくさんの企画や一般演題が併行しているため、参加できないセッションでの講演や演題を演者の許可を得て、ご発表後に電子媒体で閲覧できるプレビューセンターを設けますので、ぜひご発表者にはご研究の成果をなるべく多くの方に披露できるようにスライドのご提示を許可いただきますようお願いいたしますとともに、この機会に多数の方がこのメディアをご利用いただきますようお願い申し上げます。
昨年の大会に引き続き今大会においても優秀演題を賞する学術発表賞、人工心肺の実技セミナーも開催します。また、お子様をつれてご参加される方には無料で利用できる託児所を設けますので、ぜひご利用ください。
大会開催役員一同、ご参加いただいた方々にご満足いただけるよう、鋭意準備を進めておりますので、ぜひ、大勢の皆様にご参加いただきますよう、心よりお待ちしております。
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